今では、スマートフォンを開けば簡単に異性を探せる。
マッチングアプリ、出会い系サイト、婚活サイトなどサービスの種類も多い。プロフィールを登録し、写真を見て、気になる相手にメッセージを送るという流れも当たり前になった。
そこでふと気になった。
そもそも出会い系サイトを一番最初に発明したのは誰なのだろう?
自分は出会い系を長く利用してきたが、「最初に作った人は誰?」と聞かれると、すぐには答えられなかった。
調べてみると、この質問は意外と奥が深い。
なぜなら、「コンピューターで男女をマッチングした最初」と「インターネット上の出会い系サイトを作った最初」は別の話だからだ。
今回は出会い系口コミサイトの歴史記事として、その原点をたどってみたい。
いきなり結論、最初の一人を決めるのは難しい
最初に結論を書くと、
「世界で最初に出会い系を発明した人物はこの人」と一人だけ断定するのは難しい。
コンピューターを恋愛のマッチングに使う試みは、インターネットが一般家庭へ普及する何十年も前から存在していたからだ。
たとえば1959年、スタンフォード大学の学生Jim HarveyとPhil Fialerは、授業プロジェクトとしてIBM 650を使い、49人の男性と49人の女性を質問票の回答から組み合わせる「Happy Families Planning Services」を実施したとされる。これは商業サービスとして継続したものではなかったが、現在のマッチングアルゴリズムにつながる発想がすでに存在していた。
つまり、マッチングアプリのような考え方は、スマホどころかWebサイトが存在しない時代から始まっていたわけだ。
1964年、イギリスに重要な人物が登場する
出会い系の歴史を調べるうえで重要なのが、イギリスの**Joan Ball(ジョーン・ボール)**だ。
彼女が運営していたSt. James Computer Dating Serviceは1964年にコンピューターによるマッチングを実施し、その後Com-Patへ発展した。資料では、英米で最初期の商業的に成功したコンピューターデーティングサービスとして位置づけられている。
現在のアプリのようにスマートフォン上で相手の写真を左右へスワイプするわけではない。
利用者が質問に答える。
そのデータをコンピューターで処理する。
相性がよさそうな人を紹介する。
基本的な発想だけを見ると、現在のマッチングサービスとかなり似ている。
60年以上前にこの仕組みが商業化されていたことには驚いた。
1965年にはOperation Matchが登場
翌1965年、アメリカではハーバード大学の学生たちがOperation Matchを開始した。
中心人物として知られるのがJeff Tarr(ジェフ・ター)とVaughan Morrill(ヴォーン・モリル)で、David CrumpやDouglas Ginsburgもプロジェクトに関わった。
参加者は質問票へ回答し、料金を支払い、その情報をコンピューターで処理して相性のよい相手を紹介してもらった。Computer History Museumによると、初期には75問の質問票とIBMのコンピューターが使われた。
今なら、
「プロフィールを入力してください」
「あなたにおすすめの相手はこちらです」
という感じだろう。
しかし当時は紙の質問票やパンチカード、大型コンピューターを使っていた。
技術はまったく違う。
それでも、
人間の情報を集める→コンピューターで比較する→相性のよい相手を紹介する
という考え方は現代とかなり近い。
Operation Matchが世界初とは限らない
ここで注意したいことがある。
Operation Matchは「世界初のコンピューターデーティング」と紹介されることがあるが、Computer History Museumは「最初の米国のコンピューターデーティングサービス」と説明している。
さらに、コンピューターデーティング史を研究するMar Hicksは、Operation Match以前にも欧州でコンピューターを使ったマッチング実験があり、初期の商業サービスを始めた人たちもそうした事例を知っていたと説明している。
歴史を調べるとよくあることだが、
「誰が世界で最初だったのか」
を完全に一人へ絞るのは意外と難しい。
だから、
出会い系の発明者=Jeff Tarr
と単純に断定するのも正確ではない。
Joan Ballなど、その前後に複数の重要人物がいる。
では「出会い系サイト」なら誰なのか?
ここまではコンピューターデーティングの話だ。
しかし、日本語で「出会い系サイト」と言った場合、普通はインターネット上で相手を探せるWebサービスをイメージする。
ここで時代が一気に進む。
重要人物として登場するのが**Gary Kremen(ゲイリー・クレメン)**だ。
彼はMatch.comを立ち上げた人物として知られている。
Computer History MuseumはMatch.comについて、Kremenが考案した最初期の本格的なオンラインデーティングサービスとして紹介している。Match.comは1995年にサービスを開始し、インターネットを利用した出会いを大きく普及させる存在になった。
つまり、
コンピューターによるマッチングの歴史と、
インターネット上の出会い系サイトの歴史
を分けて考える必要がある。
1960年代と1990年代では仕組みがまったく違う
1960年代のサービスでは、自宅のスマホから好きな相手を検索することなどできない。
質問票を書く。
運営側へ送る。
コンピューターで処理してもらう。
結果を受け取る。
今から見ると非常に時間がかかる。
それが1990年代になると、インターネットを使ってプロフィールを公開したり、オンライン上で相手を探したりできるようになる。
そして2000年代には携帯電話。
さらにスマートフォン。
現在では位置情報、写真、詳細プロフィール、AIなども使われる。
出会いのスピードは比較にならないほど速くなった。
それでも基本構造はあまり変わっていない
面白いのはここだ。
技術は大きく変わった。
しかし、やっていることの基本はそれほど変わっていない。
自分の情報を登録する。
相手の条件を考える。
条件の合いそうな人を探す。
相手を紹介してもらう。
連絡する。
そして実際に会う。
1960年代のコンピューターデーティングにも、現代のマッチングアプリにも、この流れがある。
現在ならスマートフォンが数秒で処理することを、昔は紙と大型コンピューターでやっていたわけだ。
「ネットで恋人を探す」は昔ならかなり未来的だった
今ではマッチングアプリを利用して恋人や結婚相手を探すこと自体、それほど珍しいことではない。
しかし1960年代に、
「コンピューターに自分の好みを入力して恋人候補を探してもらう」
と言われたら、かなり未来的な話に聞こえたはずだ。
実際、Operation Matchは当時「social experiment」として打ち出され、コンピューターに人間関係を扱わせる発想自体が珍しかった。
今のAIによる恋愛相談や相性分析と少し似ている気もする。
新しい技術が登場すると、
「そんなものに恋愛が分かるのか?」
と思われる。
ところが何十年かたつと普通になる。
出会い系は突然発明されたわけではなかった
今回調べて一番面白かったのは、現在の出会い系サイトが突然登場したわけではないことだ。
1950年代にはコンピューターを使った学生の実験がある。
1960年代にはコンピューターデーティングが商業化される。
1990年代にはインターネット上のデーティングサービスが登場する。
その後、携帯電話やスマートフォンへ移っていく。
そして現在のマッチングアプリにつながっている。
一本の長い歴史になっている。
まとめ
では、出会い系サイトを一番はじめに誰が発明したのか?
答えは少し複雑だ。
コンピューターによる男女のマッチングまで含めれば、1950年代から実験が存在し、1964年にはJoan BallのSt. James Computer Dating Serviceが商業的なコンピューターマッチングを行っていた。1965年にはJeff TarrらによるOperation Matchがアメリカで大きく展開された。
一方、現在の「インターネット上の出会い系サイト」に直接つながる歴史で非常に重要なのが、Gary Kremenが立ち上げ、1995年にサービスを開始したMatch.comだ。
だから「発明者を一人だけ」とするより、
コンピューターマッチングの先駆者たち → Joan Ball → Operation Match → Gary KremenとMatch.com → 現代のマッチングアプリ
という流れで理解するほうが正確だと思う。
今ではスマホを数回タップするだけで知らない人とつながれる。
しかし、その仕組みの原型をたどっていくと、巨大なコンピューターと紙の質問票を使って、
「コンピューターで相性のいい男女を探したら面白いのでは?」
と考えた人たちの時代まで戻る。
普段何気なく使っている出会い系サービスにも、実は半世紀を大きく超える歴史がある。
そう考えると、いつものマッチング画面も少し違って見えてくる。


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