出会い系を使っていると、相手から思いがけない言葉をもらうことがある。
以前、ある女性と会ったとき、私はこんな意味のことを言われた。
「普段の生活では、なかなか会えないような人」
かなり好意的な評価に聞こえた。
少なくとも、その場では嫌われているとは感じなかった。むしろ自分を高く評価してくれているように思えた。
その女性とは距離が縮まり、その日はワンナイトの関係になった。
ところが、その後私はLINEをブロックした。
相手から高く評価されたのに、自分から関係を終わらせた。
振り返ってみると、一見すると矛盾しているようで、出会い系では珍しくない心理なのかもしれない。
今回は、なぜそんな行動になったのかを自分なりに考えてみたい。
「普段は会えない人」という言葉はうれしかった
出会い系で初めて会う相手から褒められれば、やはりうれしい。
プロフィール写真やメッセージだけだった関係から、実際に会って話して、
「この人はいい」
と思ってもらえたのなら悪い気はしない。
特に「普段は会えない」という表現には、単なる外見だけではなく、雰囲気や経験、話し方などを含めて評価されたような響きがある。
もちろん、その言葉の本当の意味は本人にしか分からない。
その場を盛り上げるための言葉だった可能性もあるし、本当にそう感じてくれたのかもしれない。
今となっては確かめようがない。
ただ、その瞬間の私はかなり肯定的に受け取った。
好意的な評価と「また会いたい」は別だった
ここが今回一番考えさせられたところだ。
相手から高く評価された。
一緒に過ごすこともできた。
普通に考えれば、その後もLINEを続けてもよさそうに見える。
しかし、自分の気持ちはそうならなかった。
「好かれたことがうれしい」と「この人と関係を続けたい」は別の感情だった。
これは逆の立場でも同じなのだと思う。
初デートで楽しく話せた。
相手を魅力的だと思った。
それでも交際したいとは思わない。
そんなことは十分あり得る。
人間関係は点数だけで決まらない。
相手が90点だから付き合う、70点だから付き合わない、という単純なものではない。
一緒にいるときの感覚や、その後も連絡したいと思えるかどうかが大きい。
ワンナイトになったから交際が始まるわけではない
その日は、お互いの距離がかなり近くなった。
ただ、それによって自動的に恋人関係になるわけではなかった。
ここも出会い系を使ううえでは混同しやすい部分だと思う。
一度だけ親密な時間を過ごしたことと、その後も継続的な関係を作ることは別だ。
もちろん、その出来事をきっかけに交際へ進む男女もいるだろう。
逆に、一度会っただけで終わることもある。
重要なのは、どちらか一方が勝手に「これで付き合っている」と決めないことだと思う。
相手の気持ちも、自分の気持ちも時間とともに変化する。
なぜ私はLINEをブロックしたのか
今振り返ると、ブロックという方法はかなり強い。
連絡頻度を減らす方法もある。
「今回はここまでにしたい」と伝える方法もある。
それでも私はブロックを選んだ。
なぜだったのだろう。
一つ考えられるのは、関係を曖昧な状態で残したくなかったことだ。
LINEが残っていれば、また連絡するかもしれない。
相手からメッセージが来れば返信するか迷う。
もう一度会う可能性も生まれる。
それを全部終わらせる一番簡単な方法がブロックだった。
ただし、「簡単」というのは自分にとっての話だ。
相手からすれば突然連絡できなくなる。
相手がどう感じたかは分からない。
今なら、関係を終えるにしても、状況によっては短く意思を伝えてから距離を置く方法もあったと思う。
褒められた直後だから余計に矛盾して見える
今回の出来事が記憶に残っている最大の理由は、女性からの評価と自分の行動が正反対だったことだ。
「普段は会えないような人」
そう言ってくれた女性。
その女性と親密になった。
そして私はLINEをブロックした。
文章だけで並べると、
「なぜ?」
と思う。
自分でもそう思う。
しかし実際の恋愛では、このような矛盾は起きる。
誰かから必要とされたい気持ちと、特定の相手と長く付き合いたい気持ちは同じではない。
褒められればうれしい。
好意を向けられれば自信にもなる。
それでも、自分の中に「また会いたい」が生まれないことはある。
出会い系は関係が急速に進みやすい
普段の生活なら、
知り合う。
何度か話す。
一緒に出かける。
少しずつ相手を知る。
という段階を踏むことが多い。
出会い系では、この時間が圧縮されることがある。
メッセージを始めて短期間で会う。
初対面なのに長時間話す。
一気に親しくなる。
だからこそ、その場の感情が強くなりやすい。
しかし翌日、一人になって考えると気持ちが変わっていることもある。
その夜のテンションと、翌日の冷静な判断が一致するとは限らない。
これは出会い系の面白さでもあり、難しさでもある。
相手の言葉を将来の約束だと思わない
今回の経験から感じるのは、初対面で言われた好意的な言葉を過大評価しないほうがいいということだ。
「すごくタイプ」
「また会いたい」
「普段なら会えない人」
こうした言葉を言われれば期待する。
しかし、それはその瞬間の感情かもしれない。
将来の約束ではない。
反対に、自分が相手を褒めるときも同じだ。
相手は自分が思っている以上に、その言葉を覚えているかもしれない。
だから言葉と行動のズレには少し注意したほうがいい。
ブロックする側にも理由はある
出会い系では「突然ブロックされた」という話をよく目にする。
ブロックされた側からすると、
「何か悪いことをした?」
「昨日まで普通だったのに」
と思うだろう。
しかし今回、私はブロックする側だった。
そこで分かったのは、必ずしも相手に重大な問題があったからブロックするとは限らないということだ。
嫌いになったわけでもない。
怒っていたわけでもない。
ただ、
「ここで終わりにしよう」
という判断だった。
もちろん、相手を傷つけない方法だったかと聞かれれば、もっと違うやり方もあったと思う。
その点は今になって考えるところがある。
ワンナイトより記憶に残ったもの
時間が経って振り返ると、親密になったこと自体よりも、女性から言われた言葉のほうが記憶に残っている。
「普段は会えない人」
自分をそんなふうに見てくれた人がいた。
それなのに、自分から連絡手段を閉じた。
出会い系では、相手に選ばれることばかり考えてしまうことがある。
何を書けば返信されるか。
どんな写真なら会ってもらえるか。
どうすれば好かれるか。
しかし実際に会った後には、もう一つの判断が必要になる。
自分はこの人と、もう一度会いたいのか。
相手から高く評価されたかどうかとは別の問題だ。
今なら「終わらせ方」まで考える
もし同じ状況がもう一度あったら、私は少し違う行動をするかもしれない。
会う。
楽しく過ごす。
でも次に進む気持ちがない。
そこまでは同じでもいい。
違うのは最後だ。
危険やしつこい連絡などの事情がなければ、いきなりブロックする前に、短くても自分の意思を伝える。
そのほうが相手にも分かりやすい。
出会い系では「どうやって会うか」に意識が集中する。
しかし何人もの人と出会えば、続かない関係も当然出てくる。
だから本当は、
どう出会うかと同じくらい、どう終わるかも大切なのだと思う。
「普段は会えない人」と言ってくれた女性。
一度だけ近い関係になり、その後、私はLINEをブロックした。
今振り返れば、少し不思議で、少し矛盾した経験だった。
でも、その矛盾も含めて出会い系で実際に人と会ったからこそ得られた経験だ。
好かれることと、好きになること。
親密になることと、関係を続けること。
そして、出会うことと、きちんと終わらせること。
似ているようで、すべて別の話なのだと思う。


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