12月の少し冷たい風が吹く土曜日。
好きな女の子と高崎・少林山達磨寺へデートに行った。最初の目的地は赤城山だったが、紅葉はすでに時期外れ。ほとんど枯れ葉で、写真で見ていたような深紅の景色とは違った。それでも「せっかく来たんだから、どこか行きたいね」と、彼女と相談してGoogleマップを開き、次に出てきたのが少林山達磨寺だった。
予定変更は少し不安もあった。でも、彼女は「いいよ、行ってみよう」と笑ってくれた。こういう柔軟さのある女性って素敵だなと、その瞬間こっそり思った。
山道を車で登っていくと、すでに駐車場付近は車が多く、人の流れも途切れない。紅葉のピークは過ぎているはずなのに、観光客も意外と多い。石段を登る時、前にも後ろにも人がいて、まさに「人気スポットの休日」という空気。恋人未満のふたりにとっては、少し照れる距離感だった。
階段を登りながら、ふたりで息を切らしつつ話した。「運動不足だね」「毎日スクワットしてるんだけどな〜」と僕が言うと、彼女はクスッと笑った。こういう日常の小さな会話が、距離をほんの少し縮める。
境内に着くと、赤い達磨がずらりと並び、強い存在感。インスタ向きの場所だからか、若いカップルも多かった。手を繋ぐタイミングは…結局なかった。「人が多すぎてなんか恥ずかしいね」と彼女。人混みのせいにしながら、少しホッとしている自分もいた。50代の自分が無理に距離を縮めようとするより、自然に任せた方がいい気がした。
本堂の前で少しだけ立ち止まり、願掛けだるまを買ってみた。片目だけ色を入れて祈願するのがこのお寺のしきたりらしい。僕は「良いご縁が実りますように」と願い、彼女は「仕事がもう少し楽になりますように」と言っていた。恋愛のお願いではないのが逆にリアルだと思った。大人の恋は、生活と並行して進む。
混雑で落ち着けない場面もあったが、人の多さが賑わいでもあった。人混みの中を歩く僕らは、まるでどこか遠回りをしながら距離を測っているようで、恋が進むスピードは意外とゆっくり。それでも「一緒にいる時間が心地いい」と思えたのは、混んでいたからこそかもしれない。
帰り道、車に乗り込んで見える高崎の街は少し夕暮れ。
僕は冗談半分に言った。「願い叶ったら、もう片目を書きにまた来ようか?」
彼女は笑って、「そうなったら面白いね」と返してくれた。
恋愛って、ドラマみたいに一気に進むわけじゃない。
紅葉が外れても、混雑で手が繋げなくても、ゆっくり熟す時もある。
次また会えるなら、それで十分だった。
高崎の冬の風が冷たかった分、思い出は温かかった。


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