新宿の真ん中に、小さな池と風の音だけが残る場所がある。ビルの隙間にぽっかりあいたオアシスのような空間。あの日、私は彼女とそこで待ち合わせをした。冬の空気は少し冷たく、吐く息が白くのぼる。コンビニで買ったカフェラテの温度が、手のひらにじんわりと伝わっていた。その温かさが、恋の緊張をごまかしてくれているようだった。
ベンチに腰掛けると、池の水面が光を跳ね返し、小さな波紋がゆっくり広がっていた。彼女はその景色を指差し「ここ、意外と静かだね」と笑った。都会の喧騒から数分離れるだけで、こんな清々しさがあるのかと驚いた。人混みの新宿で、私たちはまるで別の世界に迷い込んだようだった。
会話はたわいもないことから始まった。「最近ハマってる漫画」「職場の愚痴」「好きなコーヒーの味」。どれも特別ではない。だけど、隣に座る彼女が少し照れたように話すその表情が、私にとっては何より特別だった。恋はドラマみたいな派手さじゃなく、こういう静かな瞬間に宿るのだと思った。
コーヒーを一口飲むたびに、心の距離が少し縮まっていく気がした。沈黙が訪れても気まずくない。それどころか、池の水音が会話の代わりになり、言葉以上の温度が流れていた。
「また来たいね」
その一言が、冬の空気より温かく胸に残った。
恋愛は、豪華なレストランや夜景デートだけじゃない。むしろ、こうした日常の中で育つものだと気づいた。広いベンチに並んで座り、紙コップの飲み物を片手に交わした何気ない会話。あれが、今でも忘れられない宝物になっている。
出会い系で知り合った相手とのデートは緊張もある。でも、無理に盛り上げようとしなくていい。背伸びしたプランよりも、自然な距離で過ごせる場所を選ぶのが大切なんだと思う。
・歩ける距離の公園や池
・ベンチ+コンビニコーヒー
・話題は身近なものから
それだけで十分に思い出になったの。
恋は、特別なイベントで深まるのではなく、普通の時間を一緒に楽しめたときに前へ進むの。もし今、デートプランに悩んでいる人がいたら、私はあの日の景色を思い出してこう言いたい。
「大切なのは場所よりも、隣にいる人だよ」。
あの静かな池の水面に、今も恋の余韻が揺れている。


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