2022年の年末、Pairsで一人の女性とマッチした。
最初は、正直そこまで深い期待はしていなかった。ただ、プロフィール写真の雰囲気が落ち着いていて、大人の余裕を感じさせる女性だった。メッセージの文面も丁寧で、返信のタイミングも無理がなく、自然体。
「この人、なんか感じがいいな」
そのくらいのライトな印象でやり取りが始まった。
年末でこちらも忙しく、メッセージはゆっくりだったが、不思議と途切れなかった。会話の流れがスムーズで、大人同士の距離感が保たれたまま、少しずつ深まっていく感じが心地よかった。
そしてある日、こちらの仕事の話になったとき、何気なく「あなたはどんな仕事なんですか?」と尋ねた。
返ってきた答えは、まったく予想していなかった。
「私、医療関係の仕事をしています」
最初は看護師や医療事務を想像した。でも話を聞いていくと、どうも違う。専門用語の使い方、仕事の時間帯、責任の範囲の話が、明らかに一般的な医療職とは違っていた。
「もしかして…医師?」
と軽く聞いてみたら、
「あ、はい。一応」
とさらっと返ってきた。
驚きすぎてスマホを持つ手が止まった。
まさかPairsで出会った女性が女医さんだったなんて、1ミリも予想してなかったです。
女医さんと言うと、忙しくて、出会いが少なくて、敷居が高い…そんなイメージがあった。でも目の前の彼女は、どこまでも自然で、話すテンポも優しく、距離感の取り方が上手だった。
「普通の人みたいに接してほしくて、あえて最初は職業をぼかしていた」と後から聞いた。
確かに、マッチングアプリでは“職業だけで態度が変わる人”が多い。女医と知った途端、急に下心のあるメッセージを送ったり、媚びたり、逆に引いてしまう男性もいるらしい。
だから彼女は、あえて職業を隠していた。
その気持ちを聞いたとき、「確かにそうなるよな…」と思った。
実際、女医さんとマッチしたことで、こちらの気持ちも少し変わった。
驚きと同時に、尊敬と緊張が混ざった。でも、それ以上に「こんな人がPairsにいるんだ」という現実が大きかった。
アプリには嘘プロフィールも多い。でも、ほんの少しの確率で“想像を超える人”が隠れている。その典型例が彼女だったと思う。
出会い系アプリは運とタイミングだと言われるが、本当にその通りだ。まさか年末の忙しい中、なんとなく開いたPairsで、女医さんとマッチするなんて、自分でも笑ってしまうほどの偶然だったのだ。
結局、その後は会ったり、やり取りが続いたり、距離が近づいたり、いろいろあった。
だけど一番強く残っているのは、あの日の衝撃だ。
「えっ、女医さんだったの!?」
と一人でスマホを見つめたあの瞬間。
出会い系は嘘も多い。
でも同時に、人生で一度あるかないかの“レアな出会い”が潜んでいる場所でもある。
2022年末の彼女との出会いは、まさにそんな一つだった。


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