Pairsで会った女性が“実は女医だった”。2023年のリアル体験談と見抜けなかった理由

恋愛心理

2023年3月。
少し暖かくなり始めた頃、Pairsで仲良くしていた女性と初めて会うことになった。

彼女とは、1か月ほどメッセージのやり取りを続けていた。返信は丁寧で、話題のセンスが良く、落ち着いた雰囲気がある。どこか知的な印象を感じていたが、職業の欄には目立ったことは書いてなかった。
「医療系の仕事」とだけ。
深く聞くのもどうかと思い、そのまま流していた。

当日、待ち合わせ場所に現れた彼女は、写真よりも柔らかい雰囲気の女性だった。
ゆっくり歩いてきて、軽く会釈をしてくれる。その仕草だけで「上品な人だな」と分かった。

カフェに入り、コーヒーを注文しながら他愛もない会話が続いた。
話し方が落ち着いていて、受け答えが的確。こちらが語った内容の細かい部分まで覚えている。
ただの“医療系”にしては、知識の奥行きが深い。
会話の流れで、気づけば健康の話や生活習慣の話に自然と触れていた。

そして、ふとした瞬間だった。

「実は私、医者なんです。でもアプリでは言っていません。」

その一言に、私は少しだけ驚いた。
でも違和感はなかったのだ。
むしろ、これまでの文章量や会話の精度、落ち着いた所作…。
「なるほどな」と自然に腑に落ちた。

彼女が続けて話してくれた。

「医者と言うと、警戒されたり、距離を置かれたりするんです。だからPairsでは最初は言わないようにしています。」

この言葉には、正直少し切なさを感じた。
医者と聞くと特別に見られがちだが、彼女自身は普通に“ひとりの女性”として接してほしかったのだと思う。

会話はそこからさらに弾んだ。
勤務の大変さ、夜勤の話、患者との関わり、忙しさの中で恋愛をする難しさ…。
医者という立場の“リアルな大変さ”が少しだけ見えて、彼女をより身近に感じられた。

印象的だったのは、彼女がこう言ったことだ。

「仕事では強く見えるけど、恋愛だと普通なんですよ。むしろ不器用かもしれません。」

その言葉は意外で、少し胸に響いた。
女医という肩書きの裏側にある“普通の優しさと弱さ”を感じたからだ。

短い時間だったが、その日を境に、彼女の印象は大きく変わった。
単なる“アプリの相手”から、人としての温度が伝わる存在になった。

Pairsでは、プロフィールにすべてを載せない人も多い。
職業、家庭環境、過去の傷…。
誰にでも隠したい部分や、慎重になりたい事情があるのです。

今回の経験で改めて思った。

「アプリで知り合った相手は、会ってみて初めて本当の姿が見えてくる」

職業が何であっても、結局は“相性”と“誠実さ”がすべてだ。
彼女は医者であることを隠していたけれど、嘘ではなく“防衛”だった。
そして、その背景には優しさと不安と、自分を守りながら恋をしている等身大の姿があった。

2023年3月のあの日、私はひとつ学んだ。
Pairsには、想像もしない背景を持った人との出会いがある。
そしてその先に、意外な本音や温かさが隠れている。

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