あの日、スマホの画面を見た瞬間、胸の奥がストンと落ちるような感覚になった。
いつも通りに送ったメッセージが既読にならない。それだけならまだいい。
でも、プロフィール画像が消え、タイムラインも見れなくなり、
「このユーザーは存在しません」の表示が出た瞬間、すべてを悟った。
あぁ、ブロックされたんだ。
それ以上の理由も、説明も、余白もない。
好きだった人とのつながりが一瞬で切られた瞬間だった。
しばらくスマホを見つめながら、何が起きたのか理解しようとしていた。
気づけば手が震えていて、頭の中は「なんで?」のループ。
思い当たる節を必死に探すけれど、どれもしっくりこない。
こちらの気持ちが重かったのかもしれない。
返信のタイミングに差があったのが負担だったのかもしれない。
でも、聞くことも、確かめることも、もうできない。
好きな人に拒絶されるのは、思っていたよりずっと痛かった。
相手にとっては「ただのブロック」かもしれない。
けれど、自分にとっては“関係が終わった”という宣告のように感じた。
その日は何も手につかなかった。
仕事のパソコンを開いても集中できず、
夜になっても目を閉じると彼女とのメッセージのやり取りばかり思い出した。
楽しそうに笑ってくれたスタンプや、
優しい一言、
返信が来た時のちょっとした嬉しさ。
全部がもう返ってこないのだと思うと、胸の奥がキュッと締め付けられた。
でも、数日経つと、少しずつ冷静になっていった。
やり取りの中で、なんとなく温度差を感じていたのも事実だった。
こちらばかり話を広げていたり、
相手は忙しそうなのに、自分はその気持ちに気づけなかったり。
ブロックされたのはショックだったけれど、
“そうするしかなかった彼女なりの理由” もあったのかもしれない。
傷ついた気持ちは簡単には消えない。
でも、不思議と時間が経つと、それも経験の一つとして心の中に落ち着いていく。
恋愛は、一方がどれだけ本気でも、
相手の心がそこに追いつかないことは普通にある。
どちらが悪いわけでもないし、責める相手もいない。
ただ、タイミングと相性が合わなかっただけ。
しばらくはアプリを開く気にもなれなかった。
けれど、ある日ふとPairsを開いた時、
“世界はここで終わりじゃない” と感じられた。
新しい人がいる。
新しい会話が生まれる可能性がある。
失ったものばかり見ていた自分に、
「前に進んでいいよ」と言ってくれているようだった。
もちろん、すぐに誰かを好きになれるわけじゃない。
けれど、恋愛には次がある。
そして、また誰かと笑える日も必ず来る。
今回の傷心は、そのための“準備期間”だったのかもしれない。
突然のLINEブロックは、胸をえぐるような痛さだった。
でも、その痛みがあるからこそ、人は優しくなれるし強くもなれる。
今日もまたアプリを開いて、少しずつ前に進もうと思う。
あのブロックの痛みも、いつかは「そんな日もあったな」と思える日が来ると信じて。


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