ベジータとブルマのデートは、他のカップルとは少し違う。
まずベジータはデートを「修行より優先すべきイベント」とは思っていない。
しかしブルマが「今日は私のために時間を作ってよ」と肩をつつけば、結局は断れない。
この時点で、もうブルマの勝ちだ。
二人が向かった先は、カプセルコーポレーションの近くにある静かな高級レストラン。
ブルマが予約しており、ベジータは一応スーツを着ている。
似合っているが、本人は落ち着かないようでネクタイを何度も触っている。
席に座ると、ブルマはワインを楽しそうに眺め、
「たまにはゆっくりしなさいよ」と笑う。
ベジータは「こんな飲み物で戦闘力が上がるのか?」と真顔で聞き、
ブルマは吹き出しながら「だからそういうところが好きなのよ」と返す。
料理が運ばれてきても、ベジータはゆっくり食べるのが苦手だ。
だがブルマが味の説明をしてくれると、少し興味を持ち、
「地球の料理も悪くない」と珍しく褒める。
食後、二人は夜景が綺麗な公園へ向かう。
ここからが、ベジータの“静かな優しさ”が出る時間だ。
ブルマが寒そうにしたら、さりげなく肩に上着をかける。
本人は「風邪をひかれると面倒だからだ」と言うが、
ブルマはわかっている。
これはただの優しさだ。
公園のベンチに座り、ブルマが星を指さす。
「ねえ、あの星ってベジータ星の方向?」
ベジータは空を眺め、しばらく沈黙する。
その後、小さな声で「……そうだ」と答える。
ブルマは寄り添うように腕を絡め、
「あなたがどこにいても、私が隣にいればいいでしょ?」と言う。
ベジータは照れながら顔をそらすが、
ブルマの手は離さない。
二人が家に帰ると、トランクスが走ってくる。
「パパ、ママ、どこ行ってたの?」
ベジータはほんの少しだけ笑い、
「デートだ」と言うと、ブルマが嬉しそうな顔をする。
この瞬間、読者は気づく。
戦闘民族・サイヤ人の誇りを持つ男が、
ブルマといるときだけは“ひとりの夫、父、男”になるのだ。
ベジータとブルマのデートは、派手なイベントではない。
ただ、シンプルで温かい。
不器用だが、紛れもなく愛のある時間だ。


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