あれは忘れられない土曜日の朝だった。
前日の夜、俺と好きな女の子はやり取りをしていて、いつもより会話のテンポが良かった。彼女の声をもう一度聞きたくて、ほんの出来心で「明日電話していい?」と聞こうか迷いながら、そのまま寝落ちした。
土曜日の早朝、まだ頭がぼんやりしていた俺は、半分夢のままスマホを開き、無意識に彼女の名前をタップしてしまった。通話ボタンを押した時にはもう遅かった。
「ピッ…コール中」。
その数秒がやけに長く感じた。
彼女は出なかった。
出なくて当然だ。朝の7時前だった。
その時は「まあ大丈夫だろう」と軽く考えていた。前夜の会話は良い雰囲気だったし、少し迷惑だったとしても謝れば済むと思っていた。
だが、その楽観はすぐに崩れた。
昼過ぎ、LINEを開いた俺は凍りついた。
彼女のアイコンがぼやけている。
トーク画面に入ると「このアカウントではメッセージの送信ができません」と表示されていた。
――ブロックされていた。
胸の奥がストンと落ちるような、あの独特の感覚。スマホの画面がやけに冷たかった。たったワンタップの電話が、彼女との関係を壊してしまったと思うと、後悔が波のように押し寄せた。
「そんなに嫌だったのか?」
「気持ち悪いと思われた?」
「距離感を間違えた?」
考えすぎだと分かっても、頭の中では最悪のケースばかりが浮かぶ。
でも数日して、少し冷静になった時、俺はこう思った。
早朝の電話は、相手の生活を乱す可能性がある。嫌悪ではなく“境界線”としてブロックしたのかもしれない。
恋愛はテンポが命だが、テンポが早すぎても壊れる。
LINEの返事がいい感じだからといって、電話の距離に進めるとは限らない。まして土曜の早朝。彼女が大切にしたい生活リズムや、守っているプライベートな領域を、俺は無意識に踏み越えてしまった。
それでも落ち込む中で、ひとつだけ救いがあった。
俺は“怖がりながらも行動した”ということだ。
恋に積極的になることは悪いことじゃない。確かに失敗した。でも、誰かを想って動いた経験は、自分を少し強くする。
それから俺は、行動の仕方を学んだ。
・相手の生活時間を尊重する
・距離感を急に詰めない
・電話は必ず事前に許可を取る
・不安な時こそ一呼吸置く
恋は勢いも必要だけど、慎重さとのバランスが大事だ。
もし同じように「電話したらブロックされた」経験がある人がいたら、伝えたい。
それは“拒絶”ではなく、その時のタイミングが合わなかっただけかもしれない。
そして、恋は一人の相手で終わりじゃない。
あなたを優しく受け止めてくれる人は、必ず別の場所にいる。
土曜の早朝の失敗は痛かったけれど、それがあったからこそ、俺は恋の向き合い方を学べた。
あのブロックは終わりじゃなく、次のスタートの合図だったのかもしれない。


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