スマホを開いても通知がない。LINEを送ろうとしたら画面に表示されたのは「メッセージの送信は許可されていません」の冷たい文字。好きな女の子にブロックされた瞬間だった。胸の奥にズシンと鉛のような重さが沈む。数日前まで普通にやり取りしていたのに、まさかこんな形で断たれるとは思わなかった。
出会い系で知り合った彼女は明るくて、声が可愛くて、やり取りが続くたびに気持ちが少しずつ膨らんでいった。最初はゆっくり進むLINE、スタンプ一つでも嬉しかった。夜更かしして語り合った時は「もしかして脈あり?」なんて期待もしていた。だが、その期待はある日突然パチンと切れた。
ブロックだけならまだしも、TikTokでもDMが既読にならない。投稿は上がっているのに、俺のコメントだけスルー。まるで俺の存在だけ透明になったようで、胸が締め付けられた。スマホ画面を眺めながら、「俺、何か嫌われることした?」と自分の言葉を遡る。強引だった?頻度が多かった?踏み込みすぎた?考え出すと止まらない。
しかし時間が経つうちに一つ気づいた。
彼女の沈黙は「答え」だった。
恋は、必ずしも言葉で終わるわけじゃない。既読スルーも、ブロックも、音がないまま幕を閉じる。でもその無音の終わり方を責められない。彼女にも事情や気持ちがある。嫌いというより「距離を置きたい」「疲れた」「別の誰かを選んだ」…理由は無限にある。でもそのどれも、俺が知る必要はないのかもしれない。
ブロックされたあと数日は落ち込んだ。スマホを開くたび、指が彼女の名前を探してしまう。TikTokを開けばおすすめ欄に彼女が出てくる度に心がざわついた。でもある日ふと思った。
「まだブロックされた彼女に縛られてるのは俺だけじゃないか?」
恋は片方が離れたら成立しない。追いかけたくなる気持ちは本能に近い。でも追えば追うほど距離は広がる。ならば、俺自身が前を向くしかない。
そこでスマホから彼女のアカウント通知を切り、タイムラインに出てきても深追いしないようにした。最初は胸が空っぽになる感覚があったけど、不思議と数日後には少し楽になった。代わりに筋トレを始め、外に出て新しい店を開拓し、別のアプリで雑談相手を増やした。世界は意外と広い。
数週間後、夜風に当たりながら考えた。
もし彼女がいつかブロックを解除し、DMが届くことがあっても、その時の俺は今日より強くなっている。そして、もう彼女しか見えない状態ではなく、選ぶ側として接することができる。
恋は終わりじゃなく、アップデートだと気づいた。
好きだった気持ちは嘘じゃない。でも、その人だけが全てじゃない。ブロックされたことで終わった恋も、俺の人生の一部として記憶に残る。そう思えた時、失恋は傷ではなく経験に姿を変えた。
今この文章を読んでいるあなたが同じ状況なら言いたい。
ブロックは「終わり」じゃない。「次のステージへ進め」という合図だ。
まだ未来には、あなたをきちんと見てくれる誰かがいる。
スマホの画面は暗いけれど、前に進めば朝が来る。
その時、あなたが笑っていれば、それでいい。


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