半年ぶりだった。
新宿に住んでいる彼女と最後に会ったのは、去年の夏。
出会い系アプリで知り合い、前橋まで来てくれた初デート。その時は「もしかしたら特別な縁かもしれない」と胸が熱くなった。でも、その後はお互い忙しくなり、連絡の頻度も少しずつ減っていった。
「また会おうね」と言ったまま、季節がひとつ、またひとつ過ぎた。
正直、もう会えないと思っていた。
既読はつく。でも返信は時々。
その画面の向こうにいたはずの彼女は、少しずつ遠くなっていくように感じていた。
そんなある日、短いメッセージが届いた。
「久しぶりに会おうかな。前橋でもいい?」
心臓が跳ねた。
スマホを見つめながら、返事を打つ手が震えた。
「もちろん。いつでも。」
短く返したが、心の中では何度もガッツポーズしていた。
待ち合わせの日。
前橋駅北口に立ちながら、改札の方を何度も見た。
人の流れが途切れるたびに胸がざわつく。
本当に来てくれるだろうか?
半年の空白は思ったより重く、不安と期待が混ざって苦しかった。
そして遠くで見覚えのある姿がこちらへ歩いてきた。
薄いコート、髪をまとめた横顔。
間違いなく彼女だった。
目が合った瞬間、半年分の距離が一気に縮まった気がした。
「久しぶり。」
その言葉は少し照れ臭そうで、でも優しくて、初めて会った日の笑顔と同じ温度だった。
駅前のカフェでコーヒーを飲んだ。
前よりも少し落ち着いた雰囲気になっていた。
仕事の話、最近ハマっている映画、生活のこと。
特別な話題じゃなくても良かった。
ただ、同じ時間を共有できることが嬉しかった。
「なんでまた来てくれたの?」と勇気を出して聞いてみた。
彼女はカップを持ったまま少し考えて、こう言った。
「なんかね、ふと会いたくなったんだよ。あの時の前橋、楽しかったから。」
胸の奥に暖かいものが広がった。
完璧じゃなくていい。
ドラマみたいな恋じゃなくてもいい。
ただ、人の気持ちは時々、不思議な形で戻ってくる。
帰り際、駅のホームで手を振りながら思った。
恋は追いかけるだけじゃなく、待つ時間で育つものもある。
半年の空白は無駄じゃなかった。
彼女が戻ってきたという事実が、答えだった。
出会い系は遊びだと思われがちだ。
だけど、本気で向き合えばちゃんと人の心に届く瞬間がある。
距離があっても、時が空いても、縁が切れない相手がいる。
そんな再会があるのなら、恋はまだ終わっていない。
もしあなたにも「まだ忘れられない人」がいるなら、
焦らなくていい。
返事が遅くても、会えない日が続いても、
心に残る人は必ずまたどこかで縁を見せてくれる。
恋は消えない。
静かに形を変えながら、再び動き出す日を待っている。


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