初デートで好きな女の子と前橋駅で待ち合わせたが、その時のことは忘れてしまった

口コミ・体験談

— 出会い系でのリアルな体験と、なぜ人は思い出を失くすのか

初デートの日。
場所は前橋駅、北口だった気がする。
駅前のロータリーの風景は今でも思い出せるのに、彼女と会った瞬間だけが、不思議と霞みがかっている。
待ち合わせ場所を決めたのは、出会い系アプリで何度かやり取りを重ねたあとだった。
画面越しで話していたときはあんなに鮮明だったのに、いざ会った日の記憶は少しだけ欠けている。

なぜなのか。
楽しみにしすぎて緊張したのか。
それとも、心が追いつかなかったのか。

思い出そうとすると、冬だった気がする。
風が冷たくて、ダウンジャケットのチャックを上まで上げた。
電車が到着する音がホームに響き、改札から出てくる人の波。
でも、その中から「彼女だ」と確信した瞬間の映像だけが曖昧で、まるで夢の断片みたいにぼやけている。

名前は覚えている。
話した内容も、だいたい覚えている。
「はじめまして」から「どこ行く?」の流れも自然だった。
駅近のカフェに入り、ホットコーヒーを頼んだ。
彼女はカフェラテ。泡のハートを指で触って笑っていた記憶がある。
テーブル越しに見た横顔は綺麗だった。
なのに、待ち合わせの一瞬だけがない。

出会い系で会うって、思っている以上に現実が急に立体になる瞬間だと思う。
文字と写真で作られた人物が、目の前に現れる。
声があって、温度があって、呼吸している。
画面の向こうの存在が「人間」になる衝撃。
もしかすると、その瞬間に脳の処理が追いつかず、記憶が飛んでしまったのかもしれない。

デート自体は悪くなかった。
むしろ楽しかった。
会話は自然で、緊張しながらも笑い合った。
前橋駅から中央前橋まで歩き、川沿いのベンチで話をした。
「仕事、大変?」と聞くと「まあね、でも休みの日は外出たいタイプなんだ」と彼女。
その返しがなんだか嬉しくて、ずっと覚えている。

別れ際、改札前で手を振った。
帰りの両毛線の発車ベルが鳴り、電車が滑るようにホームへ入ってくる。
その瞬間の寂しさは、今でも胸に残っているのに、不思議と出会った瞬間だけが欠けている。

出会い系は便利だ。
距離を縮めるスピードも、会う段取りまでも。
でも、思い出が鮮明に残るかどうかは別の話だ。
人は、都合のいいところだけ大切に抱きしめ、曖昧な部分は薄れていく。
恋はエピソードよりも、感情を覚えているのかもしれない。

彼女の名前は今でも言えるし、好きだった気持ちも消えていない。
もしもう一度会えるなら、今度は記憶に焼き付けたい。
前橋駅のロータリーで立つ瞬間を、彼女の笑顔を。
スマホ越しではなく、現実の光で。

出会い系の体験は完璧じゃない。
でも imperfect なところが、どこか人間らしい。

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