新宿御苑での初デート。冬の風がやわらかく吹いて、銀杏の黄色がじんわり夕日に染まっていた。私は50代、相手はもっと若い女性。出会い系で知り合って数週間。やっと会う約束にこぎつけた日だった。緊張もあったが、同じ区に住んでいるという距離の近さもあって、どこか不思議な縁を感じていた。
園内をゆっくり歩きながら話した。趣味、仕事、家族の話、そして互いの過去の恋愛。笑ってくれる瞬間が嬉しくて、心の中では「手を繋いでもいいかも」と思いながらタイミングを探した。でも、踏み出す勇気を出せる瞬間はなかなか来ない。しかし出口が近づく頃、意を決してそっと手を伸ばした。
…が、その手は軽くかわされてしまった。強い否定ではなく、ふわっと避けるように。ただ、確かに拒否だった。正直、胸にストンと重い石が落ちたような感覚。頭の中では「嫌われた?」「まだ早かった?」そんな言葉がぐるぐる回った。でもそのあと彼女は普通に会話を続けてくれた。笑ってくれた。歩きながら、「手を繋ぐって、タイミングと信頼の積み重ねなんだ」と気づいた。
相手にとって50代の男性と初対面で手を繋ぐのは、まだ警戒心があったのかもしれない。恋は焦るほどすれ違う。若い頃なら勢いで行けた場面も、年齢を重ねると丁寧さが必要になるのだと感じた。大切なのは、拒否をマイナスに取らないこと。拒否は「NO」ではなく「まだ早いだけ」。むしろ信頼を積み重ねるチャンスです。
その日から、まず距離感を大切にするようになった。メッセージの返し方、会話のテンポ、会ったときの視線の交わり。ゆっくり距離を縮めていく恋も悪くない。相手の気持ちを尊重しながら進めば、手を繋ぐ日もきっと来る。焦らず、でも諦めず。恋は年齢ではなく心の柔らかさで決まるのだと思った。
あの日の新宿御苑は今でも鮮明だ。拒否された痛みも、風の温度も、冬の匂いも。思い出すたび胸がキュッとなるけれど、それも恋の証。50代だからこそ、丁寧で誠実な恋をしていきたいと思う。次は手を出す前に「繋いでもいい?」と聞いてみよ。それだけで未来は変わるかもしれない。


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