出会い系で知り合った彼女と、初めて会った日。
待ち合わせ場所は 新宿御苑の大木土門前。
12月の冷たい風が頬を撫でていたけど、心の中は妙に暖かくて、不思議な緊張感があった。
彼女が歩いてくるのに気づいた瞬間、胸がギュッとなった。
写真で見るより柔らかい雰囲気で、笑った顔がめちゃくちゃ可愛い。
「こんにちは」と言いながら頭を下げたけど、その声が少し震えているのが自分でもわかった。
初デートって、本当にこんなに緊張するんだなと実感した。
園内に入ると、紅葉がまだ残っていて一面が黄金色。
池の水面に映る木々も綺麗で、ゆっくり散歩するだけで映画みたいな雰囲気だった。
だけど、肝心の “手を繋ぐタイミング” は結局訪れなかった。
隣を歩いているのに、あと10センチ手を伸ばす勇気が出ない。
「今繋いだら重いと思われないかな」
「嫌がられたらどうしよう」
そんな気持ちが頭の中をぐるぐる回ったまま時間だけが過ぎていった。
ベンチに座ってホットコーヒーを飲みながら話す時間は、思った以上に楽しかった。
仕事のこと、家族のこと、最近観た映画の話。
目が合うと少し照れて、お互い笑い合って。
手を繋がなくても、距離は確かに少しずつ近づいてる気がした。
デートの終わり、御苑を出たあと新宿駅まで一緒に歩いた。
改札前で「今日はありがとう」と言ったとき、
彼女が少しだけ目を見て、柔らかく微笑んだ。
その一瞬で「今日は手を繋がないままで良かったな」と思えた。
無理やりじゃなく、自然な空気で終わらせられたから。
帰りの電車で窓を見ながら思い出すと、胸の奥がじんわり熱くなった。
好きって、ゆっくり育てるほうが楽しいのかもしれない。
次こそは手を繋げたらいいなって。
いや、次できる確信はまだないけど、少なくとも今日は一歩前進できた気がする。
初デートで手を繋げなかったことをちょっと笑いながら、
あの柔らかい空気をまた味わいたくてLINEを開く。
「次はいつ会える?」
そう打つ指が少し震えていたけれど、送信ボタンを押す勇気はちゃんと出せた。
恋は、焦らなくていい。
歩幅を合わせて進めば、それで十分だと思う。


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