2025年の冬、12月の風が少し冷たくなり始めた頃。
久々に予定が合い、好きな女の子と新宿で会うことになった。
行き先に迷ったけれど、ふと浮かんだのが 新宿御苑のいちょうだった。黄色の並木道の写真をSNSで見て、「今ちょうど見頃らしいよ」と送ったら、「いいね、行こう」と即返信が来た。
それだけで胸がドッと熱くなった。
新宿御苑の 大木戸門前で待ち合わせ。
人が多くて、どこか落ち着かない。それでも彼女がこちらに気づき、小さく手を振ってくれた瞬間、景色よりも胸が色づくのを感じた。
「久しぶり、寒いね」
「ほんと、でもいちょう綺麗」
そう言いながら歩き出したのです。
園内に入ると、視界一面が黄色の世界。
風が吹く度に葉がさらさらと舞い落ちて、光に照らされるたび金色の雨みたいに降り注ぐ。
ただ歩いているだけなのに恋人同士になったようで、不思議なくらい胸が温かかった。
ベンチに座り、ホットコーヒーを飲みながら話をした。
「最近、仕事どう?」
「ちょっと忙しいけどね。でもこうやって来れて嬉しい」
その言葉に、心がふっと軽くなった。
彼女は笑うと目が少し細くなる。その表情がいちょうの黄色より輝いて見えた。
写真もたくさん撮った。
並んでスマホ画面を覗きながら、「これ美男美女に見えない?」なんて冗談を言うと彼女が吹き出した。
笑い声がいちょうのトンネルに吸い込まれていく。
紅葉の季節は人をセンチメンタルにする。
「この時間がずっと続けばいいのに」
心の中で何度も思った。
帰る頃には日も傾き始めて、黄色がオレンジ色に変わっていった。
手は繋げなかった。告白もしていない。
でも、恋が進んだ気がした日だった。
別れ際の駅前、人混みの中で小さく手を振りあった。
背中が遠ざかるほど胸の奥がじんと締め付けられた。
「また会えるかな」
「次はもっと話せるかな」
そんな期待と不安が混じった冬の夕方。
好きな人と歩く新宿御苑のいちょうは、ただの景色じゃなくて、
思い出が色づいた場所として心に刻まれた。
もし来年も会えたら、今度は手を繋ぎたい。
そしてまた同じ道を歩きたい。
そう思えるほど、あの日の黄色はまぶしかった。


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