今年の冬、12月。空気が澄んでいて、吐く息が白く残る季節だった。
SNSで知り合った彼女と、初めて新宿御苑で会う約束をした。彼女はプロフィールに「馬が大好き」と書いていて、牧場に行った時の写真が印象的だった。優しい笑顔で写っていて、ホースのたてがみを撫でている姿が忘れられなかった。
待ち合わせは新宿門。冬の御苑は落葉が多くて少し寂しいけど、それがまた情緒を生む。僕は10分早く着いて、スマホを見たり風景を眺めたりしながら、どんな会話をすれば緊張せずに済むか考えていた。
そんな時、マフラーを巻いたショートヘアの女性が小走りで近づいてきて、小さな声で「お待たせしました」と笑った。
あの瞬間、冬なのに胸の奥がじんわり温かくなったのだ。
歩きながら、馬の話になると彼女は一気に表情が明るくなる。
「馬ってね、優しいの。怖がりだけど信頼してくれると寄ってきてくれる」
そう言う横顔は、まるで太陽の光の下で輝いて見えた。
僕はただ頷きながら、その声を聞けるだけで嬉しかった。
御苑の中をゆっくり歩き、温室の前で写真を撮った。冬でも植物の色は鮮やかで、彼女が「ここ、好きだな」と言った瞬間が印象に残ったのだ。
広い芝生のベンチに座り、缶コーヒーを分け合いながら、「いつか北海道で馬に会いに行きたい」と彼女は目を細めていた。
僕は「その時一緒に行けたらいいな」とは言えず、代わりに「写真、楽しみにしてるよ」とだけ返した。弱い言葉だ。でも、その言葉に彼女は「そうだね、いつか」と微笑んだ。
デートの終わり、新宿駅までの帰り道。イルミネーションが綺麗で、時間がゆっくり流れていた。別れ際、また会おうねと互いに言ったけれど、次の予定はまだ決められなかった。
だけど不思議と後悔はなくて、「今日という1日が宝物だ」と素直に思えた。
出会い系で出会った関係は、続くかどうかはわからない。
でも、たった1回のデートが心に残ることだってある。
誰かと歩き、話し、笑えること。それだけで冬の冷たい空気は少し柔らかくなる。
もしこの文章を読んでいる人が、誰かと会うのを迷っているなら言いたい。
勇気を出して会いに行ってみると、人生は少しだけ温かくなる。
恋は取りに行くものではなく、重ねるものだと今なら思う。


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