―あの時のドキドキは今でも忘れない。出会いは不器用でもいい。―
出会い系アプリでメッセージを続けていた女の子と、ついに会う約束ができた。スマホの画面越しに笑う彼女は明るくて、返信のテンポも良くて、気づけば毎日やり取りするのが楽しみになっていた。
――「次、会ってみませんか?」
自分から言えたのは奇跡みたいだった。約束が決まった日から胸がずっと熱かった。
当日、駅で待ち合わせ。彼女は写真よりも可愛くて雰囲気も柔らかく、正直その瞬間で言葉が飛んだ。
「はじめまして」
それだけで精一杯。普段なら冗談も言えるのに、声が小さくて自分らしさがどこかへ消えた気がした。
少し歩いたけど、ランチに誘う勇気も出ない。
「このあと、どうしますか?」と聞かれたのに、
「駅の方戻ります?」と意味のない返しをしてしまう。
自分でも分かっていた。誘いたい。もっと一緒にいたい。でも、緊張が言葉を奪う。
ベンチで少し話しただけで解散した。
たった30分。でも、彼女の笑顔、うなずき方、髪が揺れる瞬間まで全部覚えている。
帰りの電車、窓に映る自分の顔は情けなくて、胸がキュッと痛んだ。
「なんで誘えなかったんだろう」
「せめてコーヒーでも行けばよかった」
後悔が波のように押し寄せた。
でも今思うと、あれは自分にとって大切な一歩だったと思う。
初対面が上手くいかなくても、それは「ダメだった」じゃなく「慣れていないだけ」。
人は経験で強くなる。
――次は少しだけ前に進めるはずだ。
メッセージで素直に伝えた。
「緊張して誘えなかった。また会えたら嬉しい」
返信はすぐには来なかったけれど、既読はついた。
その一瞬だけでも、前に進めた気がした。
恋はいつも完璧じゃない。ぎこちなくて、不器用で、時に後悔が残る。
でも、心が動いたあの日のことは忘れないのだ。
勇気があと少しあれば未来は変わっていたかもしれないし、変わらなかったかもしれない。
でも確かに言えるのは、 「会えた」という事実は前進だったということ。
もし今、好きな人に会う予定がある人がいるなら伝えたい。
緊張してもいい。言葉が詰まってもいい。
うまくできなくても、その日があなたの恋のスタートラインになる。
次は、コーヒーに誘ってみよう。
短くても、たどたどしくても、
前回より半歩だけ勇気を出せばそれで十分。
出会いは、ゆっくりでもいい。
あの日の僕のように,
。


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