20歳の頃、私は悩んでいた。大学とバイトの往復、好きな人へのアプローチも空回り。
友達に相談すると「押せ」「駆け引け」と答えは軽い。
でも心はモヤモヤしたまま。
そんな時に久しぶりに会ったのが、20歳年上の従姉妹・えみさん(40歳)だった。
親戚の集まりのあとの夜、みんなが寝たタイミングで台所の灯りだけが残っていた。
コーヒーを淹れてくれたえみさんと向かい合い、私はふと口が滑った。
「最近、好きな子とうまくいかなくて……」
えみさんは驚かず、ただ微笑んで聞いてくれた。
家族だからこそ気を張らなくて済む。
その空気に押され、誰にも言えなかった弱い部分まで話した。
「LINE返ってこないと心がザワザワする」
「期待して落ち込んで、また期待してしまう」
そんな青臭い悩みも笑わずに受け止めてくれた。
少し間を置き、えみさんは言った。
「恋ってね、追いかけても苦しいことが多いよ。それより、自分の生活を楽しんでる人のところに人は寄ってくる。」
当時の私には衝撃だった。
「追うか追われるか」ではなく「自分の人生を満たすこと」
恋愛はテクニックじゃなく、生き方と態度の延長線上にあると初めて知った夜だった。
えみさんはさらに続けた。
「相手の気持ちをコントロールしようとすると苦しくなる。
でも、自分の気持ちは自分で整えられる。
恋は駆け引きじゃなく、タイミングと余裕だと思うよ。」
40歳の言葉は、若さの勢いとは別の重みがあった。
そしてえみさんは「ここだけの話ね」と笑った。
その秘密めいた空気が少しだけ大人になった自分を許してくれた気がした。
帰りの電車、窓に映る自分が少し凛として見えた。
恋がうまくいかなくてもいい。
LINEが返らないことに一喜一憂するより、自分の世界を良くする方がきっと近道だ。
そして今、出会い系で人とやり取りする時、あの夜の言葉が支えになる。
返信の速度ではなく、会話の温度に目を向ける。
既読がつかなくても自分の生活を止めない。
焦らず、自分を楽しんでいると、自然と良い出会いに繋がる。
えみさんとの夜の台所で交わした“内緒の本音”は、恋愛のコンパスになった。
追うより満たす。駆け引きより誠実。
シンプルだけど、忘れがたい教えだ。
20歳年上の従姉妹と語り合った静かな夜。
あのキッチンの淡い灯りとコーヒーの香りは、今でも心の奥に温かく残っている。


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